Fahrenheit -華氏- Ⅲ
お酒を傾け、あたしは今まで啓と出逢って彼と関係を持ったこと、そしてそれが恋に代わりやがてそれは
愛に変わって行ったことを―――話聞かせた。
しかしその愛も―――あっけなく崩れてしまった。
単に世間話やあたしたちのなれそめを聞かせるつもりで来たわけじゃない。お互い時間もないことだろうし、それよりもあたしの目的はハッキリしている。
「恥ずかしながら、私一度失敗をして、流石に二度目の失敗は嫌だと思っていたんです。だから啓…啓人さんとも…」
「いや、啓で良いよ。君は啓人のこと『啓』と呼んでいたんだね」
おじさまは微笑ましい何かを見る目つきでおっとりと笑った。
それは神流グループを束ねる総帥と言う立場ではなく、一人の親の―――顔つきだった。
「啓人のこと、今でも好きでいくてれるかい?」
おじさまに聞かれて、あたしははっきりと大きく頷いた。
「嘘偽りは申しません。
私は啓人さんを―――いいえ、啓を
今でも愛しています」
あたしに二度目の愛を教えてくれたひと。
まっすぐで、いつも何かに一生懸命で、可愛くて、
いつでもあたしは彼の優しさに包まれていた。
あたしの汚い過去も、目を背けたくなる現実も、彼は全て受け入れてくれた―――
「愛してるんです」
二度目の告白におじさまはやはり微笑をして受け止めてくれた。