Fahrenheit -華氏- Ⅲ


き……


聞いてはいけないことを聞いてしまった!!


いや待て啓人、この会社に『部長』と名の付く人間は少なくない。


例えば物流管理本部の村木…とか?


いや!ないないないない!俺は慌てて首を横に振った。


その振動でか瑞野さんがまたも小さく身じろぎして、その際に白い頬に一房、栗色の髪が滑り落ちた。このままだと目を開けた時髪の先が目に入っちまうかも、と言う意味でその髪を掬おうとしたときだった。




「あたしじゃ―――だめですか……柏木補佐の……代わりに……なれませんか…」




………!


だらっ…


俺の額に汗が浮かんだ。




「あたしは―――部長が好き……あたしが部長が柏木補佐と付き合ってるって知ったの……だいぶ前です……応接室で…」



だらだらだらだらっ!


滝汗とはこのことを言うのだろうか。


やっぱあれ!瑠華がNYにいっちまって、俺が熱だしてそんでもってそのとき夢に出てきた瑠華にキスしたとき、あれってやっぱ瑞野さんだった!!?


ど、どーしよっ!


俺、ヤっちまったよーーーーー!!!


< 251 / 608 >

この作品をシェア

pagetop