Fahrenheit -華氏- Ⅲ


佐々木は確かに紫利さんを見ているし二三会話もした。


「は―――…?あの人とまた寄りを戻したんですか」と佐々木は目を開く。


「まぁそう言うこった?こないだ偶然会ってさ~飲みに行ったワケよ、そしたら“意気投合”してサ」


真っ赤っかな嘘だ。


ホント、ごめんなさい紫利さん。


俺は心の中でひたすらぺこぺこ。


「だから瑞野さんとどうこーないって。噂話が独り歩きしてるだけ。だいたいああゆうふわふわ可愛い系よりちょいキツめでも美人な方が俺の好みなの」


「まぁ…そう言われれば…」


おい、佐々木。そこで変な納得すな。


と、佐々木のありがた~~~い、アドバイスを聞いたが…


ヤバイ!


やばい、ヤバイ、ヤバイ!!!!


完全にヤバイ!



――――


――


俺は慌てて外食事業部に駆け込んだ。


キッチンルームでシンクの下、ヤンキー座りをしながら


「お前ホントに釘さしてくれたんかよ、昨日の女の子に」と桐島を見ると、同じ格好の桐島が、心外そうに眉間に皺を寄せ、


「勿論言っておいたよ」


「でも噂が出回ってんじゃん。それも尾ひれも背びれもたっぷりくっついて」


「ホントに事実無根なのよね」と綾子。


「まぁお前に限って、いくら柏木さんに似てるからと言って簡単には手を出さないと思うが」と、うんうん頷く裕二。


てか綾子&裕二!お前らも何でいるの!?


四人揃ってシンクの影に身を潜ませているこの姿、かなりおかしいよ!


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