Fahrenheit -華氏- Ⅲ


ヤベぇ…


ぜんっぜん!覚えてない。


「俺……何か言ってたか?」


恐る恐る…今度は俺が探るように目を上げる番だった。


まさか瑠華とのこと―――言ってないよな、俺。


「何かって……よく分からないこと言ってましたよ。意味不明って言うか。


魔王がどうのこのとか、シロアリが心配だとか……マドレーヌは甘いとか…?


何かの暗号?と聞いたら、またもごちゃごちゃ言ってて」


おい、佐々木!ごちゃごちゃとか言うなっ!


「悪かった、真夜中に迷惑を掛けて。酔ってたみたいだ。記憶にゴザイマセン」


どっかの政治家のように言い訳をして


「ええ、ハッキリ言って迷惑でした。てかあれだけ喚いておいて記憶にないって…」


おい!佐々木!ハッキリ言うな!


まぁ酔っぱらって電話をした俺が悪いんだけどな。


すまん、佐々木。


「珍しく泥酔してるな~って思って…最初は面白いから聞いてたんですけど、流石に30分も続くと」


佐々木の口調からして俺はどうやら瑠華のことを話していないことを知ってほっ。


としたのも束の間。


「『怖い、柏木さんが怖い』とかもブツブツ言ってて」


バサッ!


持っていた新聞を取り落としてしまった。


「ほ、他には?」


「他に?特に。柏木さんが怖いて言うのはいつものことじゃないですかーって返したら『柏木さんは冷たい、凍え死ぬ』とかも言ってましたが…」


そんなことも…


クラっ


またも眩暈。これは二日酔いのせいじゃない。


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