Fahrenheit -華氏- Ⅲ
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「はぁ!?会社の…あろうことか会長の秘書と抱き合ってキスしてホテル行って!?」紫利さんは思いっきり顔をしかめた…と言うより怒ってる。
「しー!」俺は慌てて紫利さんの口を手で覆った。
「だからそれは全部噂話だって!確かに瑞野さんとは飲みに行ったよ!でも桐島もいたし…まぁ店員として、だけど」
「キリシマ?」と紫利さんが眉をしかめる。
「俺の同期だよ。風向きが危うくなったらヘルプで呼ぼうとしてたんだけどさー、まぁ実際途中まであいつはよくやってくれたよ。
でも最後の最後、瑞野さんが酔っぱらって足を滑らせてそれを抱き止めたら、そこの店員……あ、これまた会社の子なんだけどその子に見られちまって」
「それはあんたが店のチョイスをまずったからでしょ。どうして二人っきりで会おうとしたわけ。いくらキリシマくんがいようと、違う店にすべきでしょうが」
紫利さん……神来社支社長のときと随分態度が違わないかい??
「それこそ二人っきりで飲みに行ったとき誰かに目撃されたらどーすんだよ。桐島がいりゃ何とでも言い訳できるし(試作品を食べにきたとか)」
「で?その噂話、瑠華ちゃんの耳に入っちゃったってワケ?」紫利さんが腕を組んで斜めに俺を見やる。
「そゆうこと。まぁ、正直瑠華がどこまで俺のことを好きでいてれるのか分かんねーけど……
でも…
しんどそうだった」