Fahrenheit -華氏- Ⅲ
PCに映しだされた心音は
中世ヨーロッパ?風の豪華なドレスでサーベルを振り回していた。
コスプレ??しかもかなり本格的…髪型も凝ってるし。遅れてハロウィン??
サーベルの動きは、フェンシングのようで
「フェンシング?高校のときちょっとクラブに入っただけなのに、案外上手ね」と苦笑すると
『今度のゲームの神が降りてきたの!』
心音は興奮気味で顔をカメラに近づけ、思いのほかドアップになった心音の整った顔を見て思わず身を引いた。
「そんなに近づかなくても分かるわよ」
『Umm.(うーん)距離感が掴めないわ…あたしはそんなに使ったことないけど、便利?』
「まぁ、国際会議とかあるときとかは……ていうか心音の方が需要あるじゃない」
『あたし、基本顔出しNGだから』と心音は唇を尖らせ肩をすくめる。
そうだったわね。
『今度のはねジャンヌダルク風のゲームなの。このドレスはキャラデザインの為に用意したの、いいでしょ?』
「まぁ凝ってるわね」
てかどこでそんなドレス手に入れるのよ、とそっちの方がちょっと気になったり。
「ジャンヌダルク?あれって農民の娘じゃなかった?お姫様じゃなかったわよね」
『だから“風”って言ったじゃない。お姫様が闘うって言うゲーム。ドレスをきれいにしたり、武器を手に入れたりして強くなっていくって話。
自分の国を守るためにね。
もちろんドレスを豪華にしていくのはちゃんと理由があるわ。王子さまからいかに愛を勝ち取るか、って』
自分の国―――
『まぁ装備を強くしたりドレスをグレードアップさせるのも早道は課金するのが一番♪』
心音はウィンク。
なるほどね…
『“あの”二村のぼーやに宣伝しておいて♪』
何であたしが……
『Your sister will take care of you a lot. Bring it on baby!(お姉さんがたっぷり可愛がってあげるわ。かかってきなさい)、って』
心音―――…
ふふっ
あたしはちょっと苦笑した。