Fahrenheit -華氏- Ⅲ


心音とのリモート会議が終わって、流石に濡れたままの髪じゃ風邪ひいちゃう、と言うことでようやくドライヤーで髪を乾かしているときだった。


今度は


ピンポーン


と言うインターホンが途中で鳴り、その手を休めることになった。


来客?と思ったものの、インターホンモニターに映っていたのは、確かイシカワさん…?コンシェルジュの一人で、応答すると


『柏木様にお届け物です。藤枝様と言う女性から』とイシカワさんは小さな紙袋をかざし、思わず目を開いた。


藤枝―――…





紫利さん?




流石にバスローブ姿で出るのはマズイと思ったから、あたしは慌ててシャツとジーンズと言う格好で出ることにした。


イシカワさんから預かった紙袋は『GREENDelicatessen』と書かれた紙袋で、その店名は六本木ヒルズの有名総菜屋さんのもので、


中から出てきたものは、四角いプラケースに入ったペンネにホワイトソース、その上にフランスパンやハーブ等がオシャレに乗ったパスタ…?だった。


プラスチックの容器の上に、恐らく手帳だろうか、一枚の紙切れが貼りつけてあって


“近くまで来たから寄ったの、食べてね。

       紫利”


と恐らく紫利さんの直筆だろう、きれいな字で書かれていてあたしは目をまばたいた。


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