Fahrenheit -華氏- Ⅲ
「久しぶりに…て言うか、はじめて?だけど三人で朝飯食わない?」と目だけを上げて提案すると、瑠華は断るかと思ったが、相変わらず透明のパックを手に上から下から横から、と言った感じでしげしげと眺め、
「……美味しそう」と呟いていた。
てか何……その可愛い仕草は…
作ってきた甲斐があったぜ!
朝から顔を背けてガン泣きしそうになった。
佐々木が三人分のコーヒーを淹れてくれて
「わ!このローストビーフサンド、最高ですね!」とサンドイッチを頬張りながら目を開いている。
「ホントですね」と瑠華もサンドイッチを両手で持ちながら頷く。「もしかしてローストビーフも手作りですか?」と、こちらから投げかけた言葉以外に初めての質問がきて
「う、うん!」
俺は思わず前のめりになって大きく頷いた。
「凄いですね」と相変わらずの無表情だったが、瑠華は美味しそうにサンドイッチを食べ、二人とも完食してくれた。
佐々木は朝食食ってきたろうし、瑠華は少食だから、サンドイッチの量は少な目に入れたのが良かったのかもしれない。
昨夜、紫利さんは瑠華に差し入れしたと言っていたが、ちゃんと食べたのかも分からないし、やっぱり目の前で食べてくれるのが一番安心だ。
「あ~、何か今日はいいことありそう♪」との佐々木の言葉に
それぞれパックを片付けていた俺と瑠華の手がぴくりと止まった。