Fahrenheit -華氏- Ⅲ
おい村木っ!
『常務もそれほど気性が荒い方ではないので、妙な企みも野心もない方ですよ。昔から知ってるので保証します』とか言ってほざいてたよな!
てかアイツも騙されたクチか……
緑川副社長よりも、もしかして瓜生常務の方がとんだタヌキだな。村木をあっさり騙せるとか…
あんなに慕っててあっさり利用されたあいつも不憫だな…とちょっと村木に同情……してる場合じゃない!
『二十そこそこの娘にそこまでの力があると思いますか?』
と瓜生常務の独白は続く。
ギリギリ…
俺は膝の上で握った拳に力を込めた。
聞けば――――
随分勝手なこと言ってくれるじゃねぇか。
親父の目は確かだし、瑠華の成績は実力だ。
一同はまたも沈黙した様子だ。数秒の間の後
『噂にによると会長の“これ”だとか』と今度は
「鴨志田監査役です」と神来社支社長からの説明を受けなくても分かった。
『『『『愛人!!?』』』』
んなわけねぇっつの!!!
俺の額に青筋が浮かんだ。
瑠華は俺の彼女だ!……あ、違った元カノか……
思ってて凹むぜ。