Fahrenheit -華氏- Ⅲ
今日は一日葵さんにお世話になりっぱなしだった。
元々葵さんは二村さんと幼馴染。大した情報を流してくるわけでもなく、一日水族館で遊んで(?)何か企んでいるのだろうか…
色々勘ぐると素直に受け取れない。
けれどせっかくの厚意を無碍にもできない。
どうすればいいのか分からず
「もらってよ、そりゃ瑠華ちゃんの周りにはこんな小さなスノードームよりもっともっと高価なものをプレゼントしくる男が多いだろうけど……今の俺の精一杯だけど…」
葵さんは顔を赤くして俯く。
これは……素直に厚意として受け取っていいのだろうか。
「あ…りがとうございます」
小さく頷くと葵さんは満足そうにぱっと顔を上げる。
これは……完全なる厚意?
まぁ今のあたしにはどちらでもいいけど。
「それではまた、連絡いたします」
そっけなく言ってくるりと踵を返すと
「あのさ!」
葵さんのいつになく力強い問いかけにあたしは思わず振り返った。
まだ何か?と目で問いかけると
「瑠華ちゃんは何と闘っているの?どこまで行くの―――」
と聞かれ、あたしは目を開いた。
それは前にも聞かれた質問だ。
どこまで?あたしだって分からない。
「知ってどうすると言うのですか」
「どうしようとか考えてないけど、それって別れた男と関係ある?」
葵さんは切なそうに眉を寄せる。
「だったらどうだって言うんですか。
私が未練たらたらでまだ彼の心を取り戻せると思って、あなたのことをお金で買い、そこまでして彼の気持ちを取り戻そうとしている、と思ったらあなたはどう思います?」
さっきは仕事が恋人のような答えたけれど、取り繕う必要はない。
「バカな女と、でも?愚かな女、とでも?
どう思われようと構いません」
キッパリと言い切ると
「いや、バカな女とも愚かな女とも思わないけど?
だってそこまで思えるのってすっげぇかっこいいじゃん」
かっこいい―――?