Fahrenheit -華氏- Ⅲ


「あの…先日は大変ご迷惑をお掛けして」と、とりあえず俺は謝った。


三人が「「「誰?」」」と言った感じで俺を注目してくるが、気にしている余裕がない。


『い、いえ!こちらがご迷惑をお掛けして、本当に申し訳ございませんでした』と謝られ


「いえいえ、私は大したことをしたわけじゃ…」と言うと


『みゆきを送ってくださりありがとうございます。あの……お礼を兼ねて、来週金曜日、18日に東京に行く予定がありますので、もし宜しければお食事を御馳走させていただきたいのですが』


「い、いえ!そのようなお気遣いは…」


俺の受け答えに三人は益々不審顔を作っている。


『でも、なんのお礼もなしに、本当に申し訳ないので』


「いえ、何度も言うようであれですが、私は特別なことをしたわけではありませんので、それに稲荷寿司!ありがとうございました。すごくおいしかったです」と携帯を耳に当てぺこぺこ。


「「「稲荷寿司?」」」と三人が小声で顔を合わせている。


『でも…こちらの気が…』と言いかけたお母さんの声がふと遠くなり、がさがさと雑音が入ると


『ちょっと!お母さん!何勝手に掛けてるの!』と瑞野さんの声が聞こえてきた。


普段おっとりとした瑞野さんにしちゃ珍しくちょっと声を荒げている。


『ごめんなさい、部長、瑞野です。母が勝手に…』と瑞野さんの弱々しい声が聞こえてきて


「や、迷惑じゃないけど…ちょっとびっくりしたって言うか…」


『部長の名刺を見て勝手に電話を掛けたみたいで…』


「いや、いいよ」俺は苦笑い。


『でも……』瑞野さんは言葉を濁した。


”でも”の続きは何だろう。




『母は部長とご飯に行きたがっています。あの…あたしもちゃんとお礼をしたかったので…』


「いや、Foxed…だったかな、ちゃんと詫び入れてもらったし。稲荷寿司も貰ったし、何か悪いよ」


て言うか、瑞野さんとはFoxedで変な別れ方しちゃったからな……何か…キマヅイ…

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