Fahrenheit -華氏- Ⅲ


流石に堕胎させたことをいう時は手のひらに汗が浮かんだが


「まぁ?妥当な判断だよな」と裕二は苦笑いで頷く。


代わりに「あんたサイテーよ」と綾子は目を吊り上げたが


「まぁ実際問題、学生だったわけだし現実的に子供を育てていくのは難しいんじゃないかな…」と桐島。


桐島の意見で綾子は大人しくなった。


綾子、お前…ホントはまだ裕二より桐島が好きなんじゃないの??


「で、結局その問題は解決したんかよ」と裕二が聞いてきて


「まぁ解決した。半分は…いや、半分以上は瑠華のおかげってこともあったけど」


「柏木さんもそのこと知ってたの?」と綾子が目を上げる。


「別れる際にな、暴露したよ。その後、真咲は婚約者との間で妊娠、結婚。めでたし、めでたし、ってワケだけど」


「あんたね!自分の失敗を柏木さんに解決してもらうって最低よ」と綾子がまたも目を吊り上げた。


「解決してもらうときは、そのこと瑠華は知らなかったんだってば。ただ、ちょっと脅しかけられてるって言っただけ」俺は降参と言う意味で両手をあげた。


俺は真咲が望んでいたアザールとの取り引きをセントラル紡績の引き合いに掛かっていた、と言ってその話を断ったこと、その後アメリカ企業で良い取り引きができそうな企業を瑠華が見つけてくれたことを話した。


「ふーん、なるほど」と裕二が顎に手をおく。


「万事うまくいったわけだけど、別れ際瑠華に真咲との本当の別れの理由を言ったとき、瑠華はきっと―――戸惑ってたと思う…」


「そりゃそうでしょ。あたしだってびっくりしたし」と綾子が目を細める。


「でも無事解決できたわけだし、そのマサキ??さんの結末は啓人が無事柏木さんを取り戻せたときちゃんと説明すれば彼女も納得するんじゃない?」と桐島。


「そう―――かもな……」


でも過去は消せない。もし無事、瑠華を取り戻しても瑠華がそのことに関して嫌悪感を覚えたら?


そのことを考えると、落ち込む。


「まぁ今そのことを話したってしょうがないだろ?柏木さんを取り戻してからゆっくり考えればいいじゃん、それこそ二人の話し合いで解決できるかもしれねーし」と裕二が同情気味で眉を寄せる。


そう……だよな。


俺のやるべきことは、まず二村を倒すこと。


会社を乗っ取りはさせない。





そして俺は瑠華を必ず取り戻す。



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