Fahrenheit -華氏- Ⅲ
結局、話はまとまることなく解散することになった。
うだうだ考えたって時間の無駄だ。
突破口が見つからない。
俺は再び書斎の壁一面に貼られた関係図を見たが、やはりどこから崩していけばいいのか分からない。
ただ一つだけ分かっていることがある。
キーパーソンが瑞野さんだ、と言うことだけだ。
だとしたら、18日金曜日、瑞野さんと瑞野さんのお母さんと会うことは好都合だろう。
だが―――18日と言う日付に何か引っかかりがある。
俺はスケジュール帳を改めて開いたが、その日の夜は空欄になっている。
何だ…この引っかかりは。
もやもやした気持ちを引っ張ったまま、俺は再び村木に電話を掛けた。
週明け、報告するとは言ったが、どこで?って話になる。
外で話すと誰に何を聞かれるか分からないからな。
村木に住所を聞いて、明日あいつん家に行くことになった。
村木もよっぽど気になっていたのだろう、俺の提案にあっさりと快諾してくれた。
―――――
――
と言うわけで、次の日、俺は村木の家に向かうことにしたが。
途中、捻挫した村木の奥さんの見舞いの為……もあるし、手ぶらで行くのも何だか憚れたから都内の老舗フルーツ店でフルーツゼリーのアソートセットを買った。
村木の家は東京郊外の住宅地の一角にあった。
一軒家だったが、周りの真新しい家々に混じってそこだけ時間を止めたように、かなりの年代を重ねているように見えた。
何か意外だぜ…
表札も『村木』となっていたし、間違いないだろう。迷うことなくインターホンを押すと
『はーい』と……若い女……梨々花嬢??の声が聞こえてきた。