Fahrenheit -華氏- Ⅲ


エレベーターの扉が閉まると同時だった。


ドーンっ!!


一層激しい雷の音がここまで響いてきて、


「キャァ!!」


瑞野さんはその場でしゃがみこんでしまった。


もしかして…


「雷、苦手?」


思わず瑞野さんと目線を合わせるようにしゃがみこむと、瑞野さんは涙目になって、こくこくと何とか頷いた。


「あの……あたし…まだ小学生だったころ、団地の公園に雷が落ちる瞬間を見ちゃって……、それからどうしても雷だけは怖くて…」


「団地の?普通避雷針とかないの?」


「築50年以上なので、避雷針が古かったようで……幸いにも誰もけが人は出ませんでしたが…稲妻が走る光とか、もの凄い轟音とか……


あ…その件があってから避雷針を強化したので今は大丈夫ですが…」


「そっか…」


と言いかけたとき、またも轟音が轟き、エレベーターが僅かに揺れた。


一瞬、地震でもあったのかと思ったが、雷の影響みたいだ。つまりはそれだけ大きな雷ってことだな。


「キャァ!!」瑞野さんはまたも叫び、俺の襟を掴んで縋ってきた。


俺はびっくりした。結構な力だ。非力そうに見えるが、それだけ怖いってことなんだな。


それと同時、今度はエレベーターの照明がフっと落ちて、辺りが真っ暗になった。


停電!?


うっそ、だろーーーー!!


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