Fahrenheit -華氏- Ⅲ


”無事で何よりです。俺は諸事情に寄り、会社で寝泊まりすることになりました。


車で帰るより、こっちの方が安全だと思ったから。また明日、宜しく”


と打って、小さくため息。


程なくして佐々木から


”会社で寝泊まりですか!?風邪ひかないように気を付けてくださいね!”と返信メールがきた。


あいつも…意外と律儀(で優しい)ヤツ。


と頬杖をつき目を細めながら携帯の画面を眺めていると


TRRRRR!


今度は電話!?


しかもプライベート用が鳴ってる。瑞野さんも俺の方を心配そうに見ていた。


俺は慌てて鞄の中をまさぐりプライベート用の携帯を取り出すと


着信:裕二


となっていて、


「裕二ぃ?何だあいつ?俺の心配でもしてんのか?」と独り言を漏らしながらも「うっす」と電話に出ると


『啓人?今どこよ』と聞かれ


「今?………まぁ色々事情があってまだ会社」と説明すると


『会社ぁ!?』と裕二が頓狂な声をあげた。


俺はこめかみを指でかきながら「だから事情があるって。今日は会社で寝泊まりすっから、ある意味一番安全だ?」と苦笑いをして「ところで、何の用?まさか俺の心配?」


『んなわけあるか。お前は槍が降ってこようと死なねぇぐらいしぶとそうだからな』


「あっそ(怒)じゃぁ何の用…」


と言いかけたとき、突如プツっ…ツーツー…と通話が切れた。


何?


訝しく思って携帯を耳から離し、携帯を見ると何てこともない、俺の携帯の充電が切れただけだった。

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