Fahrenheit -華氏- Ⅲ
はじめて―――今日、心から笑えた気がする。
不思議だ……
ちょっと前…厳密に言うと二か月前に、あたしと緑川さんがこんな風に打ち解けるとは思ってもなかった。
「は~!すっきり!言いたい事言えて」
緑川さんはハンカチで手を拭きながら笑い、確かに私もスッキリした。
緑川さんと同じようにハンカチを取り出していると
「柏木補佐、どうしたんですか!その手」と今日何度目の質問になるのだろう。聞かれ、あたしは一貫して通してある嘘を述べると「大丈夫ですかぁ」と緑川さんは甘ったるい声で聞いてきた。
前のあたしには耳障りに聞こえたけれど、緑川さんの通常だと思えばもう何とも感じない。
それに緑川さんは本気で心配してくれてるようで、あたしの手を取りまじまじと見つめながら眉を寄せている。
「平気です。ところで緑川さん――……」
言いかけると同時
「柏木補佐っ!
来たんです!生理が!
念のため検査薬でも調べたんですが陰性でした」
と緑川さんは心底ほっとしたようにほっと胸を撫で下ろし笑った。
あたしは目を開いた。
良かっ――――た―――