Fahrenheit -華氏- Ⅲ

あたしは耳からワイヤレスイヤホンを抜き取り、椅子に座りながら通話途中だったスマホをスピーカーにした。


自身のPCの電源を起ち上げ、引き出しを開けると以前心音から受け取った赤いUSBメモリを取り出し、それを別のUSB差し込み口に差した。


「Are you ready?(準備はいい?)」スピーカー機能にしたスマホに問いかけると


『It's OK!』と心音の弾む声が返ってきた。


あたしはすぐさま桂林、紫玉リゾートHPを起ち上げ、心音が作ってくれた裏ホームページに飛んだ。


「Yeah,Welcome to special auction club.(ようこそ、スペシャルオークションクラブへ」


と言い、怪し気なベネチアンマスクをクリックした。


夜も22:30(勿論日本時間で)


アメリカNYは7:30
イギリスを含む中央ヨーロッパ時間は14:30
オーストラリアは23:00
香港は21:30
中国は21:30
韓国は21:30
インドネシア21:30
フィリピン21:30

その他諸々の時差はあるものの世界の富豪たちは全てオンラインになっていた。


勿論『Max Valentine』も


『American west star :Managing Director Onoda(アメリカンウェストスター、小野田専務)』も。


「役者は揃ったようね」


『Teeheehee.(ふふっ)』と心音が妖し気な声で笑い


22:30ぴったりに


”Bid on an auction:”の項目にすでに91,014$とオーストラリアの富豪が名乗り出ていた。


日本円にして約1,000万。


まずまずの出だしだ。


『いい感じじゃない?』と同じ画面で流れを確認している心音が小さく笑い


「まだまだ、これから吊り上げるわ」と勝気に言うと


『そうこなくっちゃね♪』と心音は楽しそう。






「さぁ、出てきなさい。



(ヴァレンタイン)」




あたしはマウスを強く握った。





「あたしがぶっ潰してやる」


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