Fahrenheit -華氏- Ⅲ


迷惑―――……?


確かに俺が瑠華たちの作戦を阻止したから彼女からしたら”迷惑”このうえないだろう。


でも、俺は俺の正義がある。ルール違反をしたのは瑠華だ。


けれど、瑠華はただ単に自分の欲の為、誰かを責めることはしない―――


色々な考えがごちゃまぜになって俺の脳裏を不快に満たす。


そう思っていると


トンっ


今度はやや軽るめに俺の胸に瑠華は一枚の紙を突きつけてきた。


「”稟議書”です」


瑠華はたった一言呟いた。


”稟議書”――――


今更それが何だ。イヤって言う程見た。それこそ穴が開く程。ただ、日付だけは見落としていたが。一番大事な所見落とすよな、俺…って感じだけど。


おずおずとその稟議書に手にして、『これを見て』と目が語っている瑠華の視線を汲んで俺は彼女が付きつけてきた”稟議書”を手に取り、視線を落とした。


そしてその稟議書を見て目を開いた。





「これ――――」







「言ったでしょう?あなたには迷惑しているって。


”私たち”の計画を、邪魔しないでください」





瑠華は最後に一言言い、壁から手を離し、踵を返そうとした。栗色の髪がふわりと揺れる。


「待って!」


その背中に向かって俺は思わず声を掛けていた。


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