Fahrenheit -華氏- Ⅲ
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「それにしても意外だな~、瑠華ちゃんでもマックとか来るんだ」


「来ますよ。日本では初めてですが。NYではしょっちゅう」


あたしは出来たてのポテトフライを口に含んだ。マクドナルドは全世界共通なのか、NYで食べたポテトフライとあまり違わなかった。


ちょうど良い感じの塩分と芋の弾力。


「しょっちゅう?」


またも意外そうな声を出して葵さんはビッグマックバーガーにかぶりつく途中だった口を開けたまま聞いてきた。


「ええ、会社の仲間と」


それはまだFahrenheitを起ち上げて間もないときだった。


「意外だな~。会社の仲間と?どんな仕事してたの?」


どんな…?


そう言えばあたしはこのひとに過去のことを少しも喋っていない。


いや、喋る必要はない。不必要な情報を与えてしまうと、いつ二村さんに情報が流れるか分からない。


「……まぁ今と似たような感じです…」


「へー、今どんな仕事してンの?営業とか?」


葵さんは興味深そうに聞いてきて、このひとは―――二村さんから何も聞かされていないのだ、と改めて気づいた。演技ではなさそうだし。


「事務も営業もやります。内容としては貿易関係、と言えば宜しいでしょうか」


そっけなく言ってコーラを口に含む。


嘘を着いてもどうせバレる。ここは正直に話そう。


「へぇ!貿易関係!」


葵さんは大げさに驚いた。


「かっこいいな!♪」


何が……何がかっこいいのだ。


やっぱりこのひとのペースにはついていけない。


一人の方が良かった、とちょっと後悔。
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