Fahrenheit -華氏- Ⅲ
二日間まともに寝てなかったからな。
開けっ放しにしたカーテンから陽の光が差し込んでも、俺はしばらくその光に気付かなった。
何となく寝返りを打ってソファの肘あてに膝をぶつけたときに、僅かな痛みで目が覚めた。
「……ってー…」
膝だけじゃなく腰も背中も首の後ろも痛い。
ベッドで眠るつもりだったが、ソファで寝てしまったせいだ。
おまけにブランケットも被らず寝ちまったから体が少し冷えてる。
こんなことが瑠華にバレたらまた叱られるな…
思わず身震いをして両腕を抱きしめ、……てかこれは瑠華を恐れているのかそれとも単なる寒気なのか…まぁどっちもだろうな~と平和的に考えてテーブルに置いた携帯のデジタル表示を確認すると
10:03になっていた。
ヤッベ。俺、寝すぎ…
「いてて…」
あちこちで体がギシギシいってる気がしてあちこちをさすりながらも、俺はプライベート用の携帯を開いた。
迷わず
”親父”のメモリを開いて電話をした。
TRRRR…
『はい、もしもし?』
相手はワンコールで出た。
めっずらしー
大抵俺からのプライベート用電話は一発で繋がらないのに。(大抵は半日後にコールバックがある)
「よっす」
”おはよう”と言う意味を込めて言うと
『何だ』とせっかちに聞かれる。
「あのねー、実の息子が実の父親に電話してるのヨ?『何だ』はねぇだろ」
思わず憎まれ口を叩く。
いや、こんなことを言いたかったわけじゃない。
「あのさー…」
例の稟議書を片手に目を細めていると
『昴…?あら、電話中だったの…?』
と、親父の携帯に
女!!!?
の声。