Fahrenheit -華氏- Ⅲ
駅で俺たちは二手に分かれた。裕二は都営浅草線で自宅のある南品川まで帰ると言う。どうやら夜には綾子がマンションを訪れるようだ。
俺は俺で駅前のスーパーで六本パックの缶ビールとついでに数種類の食材を買うつもりでスーパー内をうろうろしていた。
「あ、アスパラが安い…ベーコン巻き串にでもすっか」
アスパラの一束を手にして一人ブツブツ。
てか俺、休日に男一人何してんの??
急に泣きたくなった。クスン…
としんみり(?)していると
ドンっ!
足元に誰か……と言うか何かに激しくぶつかられた。びっくりして視線をその辺りに下ろすと、五歳ぐらいの小さな女の子が俺の両脚に腕を回し絡みついていた。
結構可愛い子だ。肩までの黒い髪をふわふわと揺らしている。
「パパ」
女の子の発言に
――――!!!?
俺は目ん玉が飛び出る程驚いた。
は!!!?
いや!まさかまさかの隠し子!?(覚えはないけど)
手に取ったアスパラがすり抜けそうになったが、寸での所で
「ユーリ!」
と女の声が聞こえてきて、
今度こそ俺の手元からアスパラがすり抜けた。