Fahrenheit -華氏- Ⅲ
でもあのタイミングで紛れ込む?
まぁ俺の疑問はおいといて~
「じゃぁ確認したら電話するよ」
『いえ!急ぎの用があって早く確認したいんです』
とは言っても…
「てか瑞野さん今どこ?俺のうちって知ってるの?」
『知ってます。今向かってます』
との答えに
今!?向かってる!?
な、何で!?
『あ、あの木下リーダ―に住所を聞いて』
「綾子が?分かった、とりあえず俺今外だから着いたら下で待っててくれる?」
と早口で言って俺は通話を切った。
綾子ー!何勝手に教えてんだよ!と言う怒りもあったが、これを口実に瑠華の様子を教えてもらえるかもしれない、と邪な考えがふっと沸き起こり俺は綾子に電話をした。
――
――――
『は?幾ら何でも勝手に住所を教えないわよ』
どこか瑠華から見えない場所に移動したのだろうか、声は潜められていたが俺の説明に綾子は露骨に声を荒げた。
「でも、瑞野さんは綾子から聞いたって……」
言いかけて、はっとなった。
綾子から聞いたと言うのは瑞野さんの
嘘
だ。
何故嘘を着く必要がある―――
綾子じゃなければ、俺の住所をどこで突き止めた?
いや、この時点で大方の想像はできた。
以前、緑川のマンションで偶然二村と鉢合わせたときヤツは言ってたじゃないか。
『人事部に知り合いが居るんだ。ちょっとしたコネだよ。
俺は神流部長のこともよぉく存じ上げてますよ。
よぉく、ね』
瑞野さんは―――二村と繋がっている。
俺は振り返って裕二が消えていった駅の方を見やった。
瑞野さんの目的は―――
あのSDカードだ。