Fahrenheit -華氏- Ⅲ
パラパラっ…
手のひらの中でSDカードを完全に粉々に砕くと、その破片が床に落ちる。
瑞野さんが自らの両手で口を塞いだ。
『やめろ!みゆきは無関係だ!
彼女に乱暴するな!』
二村が叫んだ。
出たな、本音が。
大事な証拠が詰まっているSDカードより、瑞野さんの方が大事と見える。
「安心しろ、俺は嫌がる女をどうこうする悪趣味はない」
冷めた目で怯えの色を浮かべている瑞野さんを見下ろすと、瑞野さんの目にはうっすらと涙が溜まっていた。
「はぁ」
俺は盛大にため息を吐き、瑞野さんの元にしゃがみこんだ。勿論瑞野さんのスマホを持ったまま。
「悪かった……怖かったよな」
瑞野さんの頭をぽんぽんと叩くと、瑞野さんの目からとうとう大粒の涙が一粒零れ落ちた。
「あー、もぉ!これじゃ完全に俺が悪者じゃん。そもそもお前が隠し撮りしなきゃ何の問題もなかったんだよ」
俺は忌々しそうに顔を歪める二村の顔を覗き込むようにスマホを見て、挑発的に笑った。
「安心しろ、さっきも言った通り瑞野さんには指一本触れない。
だからな、これが最終警告だと思っておけ。
俺を怒らせると
怖いよ?」