Fahrenheit -華氏- Ⅲ


「じゃぁ何かお茶…」と言いかけたが、


茶……なんてねーし。いや、あるっちゃあるけど。


あれは確か瑠華が俺んちに泊まりに来たとき、サイアクにタイミング悪く裕二が俺んちに襲撃してきて、そのときに出した高級中国茶。(※Fahrenheit Ⅱ参照)


何となく……瑠華に振舞ったものを出すのはなー…


「…冷たいのでもいいです。無かったら水でも。少し落ち着きたいので」


と言われ


良かった~、冷たいのならペットボトルのウーロン茶が冷蔵庫で冷えている。


と言うことで、ペットボトルからウーロン茶をマグカップに注ぎ入れ、でも落ち着くんなら温かい方がいいよな?と言うことで俺はそれをレンジでチンした。


「はい」


ほかほかと湯気が立ち昇るカップを出すと瑞野さんは素直に受け取り両手でそれを包みこんだ。


「ごめん、男の独り暮らしってこんなもんしかないし」と申し訳なさそうに頭を下げると、瑞野さんはゆっくりと首を横に振った。


ゆっくりとそれを一口口に含むと


「おいしい…」と一言。


そしてまたも目から涙がぽろりとこぼれた。


俺はぎょっとした。


え?泣く程うまい!?


「……すみませ……あたし、最近情緒不安定で…」


「いや、いいよ…さっき俺が怒鳴ったから…俺も悪かったし」


瑞野さんはまたもふるふると顔を横に振る。そして目をゆっくりと伏せ、長い睫毛が白い頬に影を落としながら




「あたし―――




柏木補佐のように、強くなりたいのに




なれない。




いっつも流されてばかり」




とぽつりと呟いた。



瑠華――――




強い――――……?




流されて?


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