Fahrenheit -華氏- Ⅲ
てか何で陰険村木が俺の誕生日を知ってるんだよ!
マジでキモいんですけど!
と言うのが、顔に出ていたのかもしれない。
村木が心外そうに眉を吊り上げ
「毎年この時期になると、たくさんの女性社員たちから贈り物をもらってたじゃないですか」
「あー……」
俺は妙なところで納得。
どこでどう漏れたのか俺の誕生日を女子社員が知って、誕生日はプレゼント攻撃が激しかったな。(てか個人情報だろうが!管理甘すぎだっつうの!)
ペンやハンカチと言った日常で使えるものは良しとしよう。中にはホテルのスイートルームの招待券を持ってきた女子社員もいてドン引きしたわ。
今年はどんな爆弾プレゼント落とされるのやら…
いや待てよ?俺っていっとき瑠華と付き合ってるって噂されてたし、裕二とも関係があるみたいこと言ったし…
だから誕生日前日でも静かだったのかー
てか……一番最初の誕生日プレゼントが村木から、なんて…俺、相当落ちたな…
ズーン…と気落ちしていると
「一つ歳を取ったぐらいで何ですか、まだ27なのに」と村木は羨ましそうに目を細める。
「若いってだけで財産ですからね、今のうちにやれることはやっておかないと」
あー、はいはい。村木の歳のおっさん(正直村木がいくつなのか知らない)みたいに歳は取りたくねーな、と思いつつ
「ありがとうございます~」俺は営業スマイルを浮かべた。
「じゃぁこの一番高いのを♪」とニコニコ指さし、昼の定食の一番高いサーロインステーキランチの文字を指さしてやった。
「あなたはやっぱりいけ好かないクソガキですね」と村木の眉が引きつる。
「まだまだ27なんで~(正確には今26だけどな)礼儀を知らないガキですみませ~ん」
笑顔でメニュー表を閉じると、村木はおばちゃんを呼び
「今日の日替わりA定食と、サーロインステーキランチを一つずつ」と注文した。
食事が運ばれてくる間、村木は手渡されたおしぼりで手を拭きながら
「瓜生常務との食事、12月の9日金曜日に決まりました」
あー、そういや前言ってたね。こいつが瓜生常務と接触して常務の婚外子の件を聞き出してくるって。
しかもその餌に紫利さんを利用してるってこと。
「あー、分かりました。紫利さんに連絡しておきます。12月は忘年会シーズンですから早めに押さえておいた方がいいですしね」
「話が早くて良かった」
「もしかして、そのことを頼むためにわざわざここへ?」と俺もおしぼりで手を拭いながら目を上げると
「当たり前です。私は彼女の個人的な連絡先すら知りませんから」とあっさりキッパリ。
こう言うやつだよ、こいつは。