Fahrenheit -華氏- Ⅲ
そんなことを話しているうちに村木の日替わり定食と俺のサーロインステーキランチが運ばれてきた。
村木の定食はこれまたうまそうな金目鯛の煮つけとマグロと鯛の刺盛り、茶わん蒸し、ご飯と味噌汁と言うラインナップだった。俺が自棄で注文したサーロインステーキランチは、白い皿に大きなサーロインステーキとソースと生花がオシャレに飾り付けられている。コーンポタージュスープとライス、ババロアのデザート付きだ。
運ばれてきただけなのに、肉汁の香ばしい香りが俺の鼻と胃を刺激した。
正直侮っていたが、これは旨そうだ。
そいやぁ村木って旨い店良く知ってるよな。以前、俺が村木の後を尾行したとき梨々花嬢と鉢合わせたとき連れて行ってくれた(訂正:連れていかれた)バーもオシャレだったし。
サーロインステーキは、まぁ!旨かった。
これだけの味とボリュームで2,500円はお値打ちだな。
しっかりと平らげ、村木に礼を言うと俺たちは店を出た。
このまま会社に帰るかと思えば、村木は途中でコンビニに寄って行く、という。俺はそれに同行せず先に帰ることにした。
サーロインステーキで腹いっぱいになったから、会社に帰るまでちょっといい運動だ。
俺は帰りながら早速紫利さんに電話を掛けたが、紫利さんは電話にでんわ(ギャグ??)
会社が見えてきた所で紫利さんからメールが入った。
”ごめんなさい、今主人が近くに居るの。あとで連絡するわ”との文面に、俺は目をまばたいた。
あちゃー……やっちまったよ…タイミング悪いなぁ。
俺との関係を清算したとは言え、男女の関係は何も無いとは言え、やっぱ昔の不倫相手と連絡取り合ってるのは旦那にとっては面白くないだろうしな…
俺らの会社の事情で紫利さんを巻き込んじまって、旦那との間に変な亀裂が入らないといいが…
紫利さん、ごめん。
俺は心の中で詫びた。