Fahrenheit -華氏- Ⅲ


20XX年12月2日


「ふぁ…」


朝7:30あくびを浮かべながら出勤した。


誕生日だというのに何の変哲もない一日を迎えようとしている。


いや、子供の頃は一大イベントだったが、大人になったら誕生日なんてそれ程重視するイベントではなくなって、


薄れゆく子供心と大人になったという自信とが波のように引いたり押したり。


何だか変な気分だ。


自部署のあるフロアに行くと、パーテーションで仕切られた他部署の人間が数人出社したばかりで、俺の部署は俺が一番乗りだった。


別に不思議に思う光景じゃない。


瑠華が早いか、俺が早いか。いつもどちらかだった。今日はたまたま瑠華の方が遅かっただけだ。


鞄を床に置いて、持ってきた新聞をデスクに置き、PCの電源を入れる。


これもいつものルーティーン(って言う程大げさなものじゃないが)だ。


PCが立ち上がる間、今日の仕事の資料を取り出す為に一番上の引き出しを開けた。


鍵が掛かっていない引き出しで、特に持ち出し厳禁や機密書類の類は入っていない。


その中に小さな正四角形の箱が置かれていた。


あれ??


何だこの箱。


爽やかなブルーは街でよく目にする”ティファニーブルー”


――――え……


俺は未だワイシャツの中にあるアトラスのリングの上にそっと手を這わせた。





瑠華―――……?


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