Fahrenheit -華氏- Ⅲ
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佐々木も無事仕事を終え、三人でタクシーを拾い瑠華が予約してくれた中華の店に着いたのは予約時間ぴったりだった。
店自体、外観はそこらへんにある居酒屋ぽい雰囲気だったが、中に入ると全席個室のその店は洒落たデザインの赤の木の格子と白い障子が張られた扉で全席を閉じてあり、中に入ると中華料理同じみのターンテーブルに三人分、箸や取り皿がすでにセットしてあった。
「おー、なかなか♪」
瑠華が選んでくれたんだよな。やっぱセンスも抜群。
「気に入ってくださって光栄です。麻野さんに感謝です」
「裕二?」
「ええ、このお店麻野さんに紹介いただいたので」
何だよ、裕二の知ってる店かよ。ガクリ…
「味があっていいですね~、値段も割とリーズナブルですし」と、主役の俺より先にさっさと真ん中の席に座った佐々木がメニュー表をぺらぺら。
おい!お前、さりげなく瑠華の隣に座りやがって!
まぁ、円卓の中三人だから結構な距離があるけど。
「今日は私がご馳走します。部長、お好きなものをどうぞ」とメニュー表を渡され
「え?いやいや、流石に奢りは悪いよー、すでに高いもんもらった上……」
「高いもの?柏木さん、部長に何かあげたんですか?」と俺の言葉に敏感過ぎるぐらい反応しやがる佐々木。
瑠華は聞いていないフリなのか、マイペースにメニュー表をめくっている。
しまった!
「いやっ!柏木さんが俺の為にわざわざお誕生日会の会場選びまでしてくれて、それってめちゃ高いことじゃん?」
う゛…我ながら苦しい…
二人の視線が痛い。
「だって柏木さんて誰にでも無関心そうじゃん?俺ごときの誕生日なんて気にしてなさそうだったし~
HAHAHAHA」
HA……
しーん…
言った後になって
パタン
瑠華がメニュー表を閉じ
「では次回佐々木さんのお誕生日にはこのお店の倍のお値段のお店で私がご馳走します」と佐々木を見る。
わー!!ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!
俺は心の中で必死に詫びた。
何なの俺!前の俺ならもっとうまくやれたのにっっ!!
久しぶりに瑠華と飲みに行けるからって、柄にもなく緊張してんのか!?