Fahrenheit -華氏- Ⅲ
「J……J…」
Jのスペルで調べたが、ダメだ……NYでの”知人”の類は日本に来るとき殆ど削除してしまっていた。残っているのはごく親しい友人知人だけ。
つまりそれだけあたしにとってジェイクは必要なかった。
「心音に…」
と思ったが、心音とジェイクは顔なじみじゃない。名前は知ってるかもしれないけれど。
でもコンタクトを取る為にやはり心音の力が必要かも。
でもどうやって説明しよう……
”あたしたちの関係”は誰にも知られてないから。
しかしそうも言ってられない。
慌てて掛け時計に目を向けるも
がくり
ダメだ……この時間帯、夜中の二時過ぎ…
心音は昼夜問わず仕事をしているからもしかして起きてるかもしれないけれど、寝ていたら申し訳ない。
この日は結局諦めて、あたしはノートPCを開けると
”Contradiction.Co”のHPを開いた。事務所はウォール街の一等地。元々彼の父親が立ち上げた会社だったが、二代目のジェイクがさらに大きくした、と言うのは風の噂で聞いている。
会社の概要や覚えのあるあの少し冷たそうに見えるが綺麗な顔で、これまた笑顔を浮かべる彼の顔写真とインタビュー記事を一通り目を通し、
しかしそれ以上のことは分からず、結局ため息を一つだけつくだけだった。
スコッチをストレートで二杯飲んだからか(まぁさっきの飲み会でも結構飲んだし)少し疲れていたのもある、あたしは早々に眠ることを決意。