Fahrenheit -華氏- Ⅲ



この頃、投資家たちに融資の話を持ち掛けられるのは珍しいことでもなかった。


大学在学中に会社を設立。しかもまだ物流をメインにする会社が珍しかったのか、先見の明があったとみえる投資会社からいくつもいい話があった。


融資話は悪い話ではない。けれど一歩間違えると乗っ取られる可能性がある。長期投資を目的とする法人などの場合は安定株主として歓迎できるが、短期売買を目的とする投機的なファンドなど名前が挙がった場合には、その後、株価が不安定な動きとなることもあるから要注意だ。


特にCCに関してはあまりいい噂を聞かなかった。強引な企業買収などの黒い噂があり、一部ではVulture(ハゲタカ)と呼ばれている。


しかもこんなに若い投資家、信用できるものか。


胡散臭いものを見る目つきで彼を見上げ


「We already have enough. Thank you.(間に合ってます、失礼)」と彼の横を通り過ぎようとすると


「Wait!Wait,wait,wait.(待って!待って、待って、待って!)」


と、またも彼が必死に言って先回りをする。


何なの。


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