Fahrenheit -華氏- Ⅲ
疑わしき男。
♠ K ♠
”今日はありがとう。
誕生日プレゼントも飲み会の企画も。
最悪な終わりになっちまったけど、俺にとっては最高な一日だった。
君の口から直接『おめでとう』を聞けるとは思ってなかったから。
27年間、生きてきた中で最高の誕生日だった。
生まれてきて初めて、『生まれてきて良かった』と思った。
本当にありがとう。
帰り道、気を付けてね”
瑠華にメールを送ってもう三十分程経つ。
家に帰りついた俺は携帯をリビングのローテーブルに置き、ソファに腰掛け腕組み。
「う゛~~ん……」
返信がこない。
まぁ、半分は想像してたけど。
やっぱ来ないと分かると悲しくなる。
「あ゛ぁあ~!」と奇声を発しながら
ボフッ!
クッションに顔を埋める。
あんなメール送らなければ良かった。瑠華を混乱させたんだろう。
ただ、業務報告だけに留めておけば良かった……
と、ガクリ。
いや、今更後悔したって遅い。
でも―――
メールに託したこと、全部嘘偽りなく、本心だ。
その言葉が瑠華にどう響いたのか、考えてもわかるわけないけれど、ただ―――知ってほしかった。
「…なんて一方的だよなー…」とまたもガクリ。
……それにしても二村、瑠華の予想通りあの店に来やがった。
瑠華はある筋からの情報だ、としか教えてくれなかったけれど。
てか”ある筋”てどの”筋”??怖くて聞けない。
でも……何となく想像はできる。
こないだ―――瑠華を抱きしめていた、あのピンクの髪の男―――