Fahrenheit -華氏- Ⅲ
瑠華があの男を使って二村を引き寄せたに違いない。
そして俺たちの仲がサイアクだと言うことを植え付けたかったのだろう。
文字通り”サイアク”を演じてみせたつもりだが、二村はどこまで信じたか―――
「…考えても分かんねー…」
ああ、ダメだ。考えれば考える程、沼にはまっていく気がする。
考えることを諦めて俺はシャワーを浴び、寝ることを決意。
どうせ月曜日になりゃ嫌でも顔を合わせるわけだし。
月曜日まで……
……
待てない!
俺は次の日の朝からやたらと携帯が鳴るのを気にしている。
昨日は夜遅かったから連絡を控えたのかな、なんて淡い(都合が良い考え、とも言う)希望を抱きながら。
掃除や洗濯なんかの溜まった家事をやり終え、作り置きのおかずを作りながらも、そして出来上がった料理を一人寂しく食いながらも、ずっと携帯を気にしていたが、その日はとうとう誰からも着信はおろかメールもなかった。
やっぱり期待するだけ無駄……かぁ…
明日の日曜日は何しよう…
大抵の家事はやっつけちまったし、これと言って出かける予定もない。この俺様が一日家でヒッキー(引きこもり)してるだけなんて…
トホホ…
がくり、と項垂れていると
TRRRR…!
突如電話が鳴り響いた。
「瑠華か!?」
慌てて携帯のディスプレイを見るも、着信相手は
「”港支社の
神来社支社長?」