Fahrenheit -華氏- Ⅲ
神来社支社長と電話を切った後、俺は慌てて親父に電話をしたが一向に繋がらない。
綾子と一緒に行動を共にしているのだろうか、と思い綾子に掛けたが…
『もしもし?』
「あ、俺…あのさ…」と言いかけたとき
『もー!今度は何!?今日は柏木さんと一緒に居ないわよ!…まぁ、でも柏木さんが危険なら今すぐに駆けつけるけど…』と最後の言葉は尻すぼみ。
「綾子…サンキュ…、でもさ今日は瑠華じゃなく親父…」言いかけたところに
『ぅおーい、綾子ぉ~……って電話中?わりっ』と裕二の声が聞こえた。
綾子……裕二といるのか…
『啓人よ。まだ用件は聞いてないけど』
『啓人~?』と裕二の間の抜けた声も聞こえる。
「あ、いや。二人一緒のとこ悪かった。てか綾子、親父の居場所知らね?」と急ぐように聞くと
『会長の?さぁ。今日はオフだった気が…ちょっと待って、スケジュール帳調べるから』とごそごそと音が聞こえ
『あー、やっぱ今日はオフだし、私のところには何の連絡もないわよ?何かあった?』
「いや、お前も知らないならいいや」
『あそ』
と言う具合に通話はすぐ切れた。
綾子ですら居場所を知らない。
俺はもう一度親父に電話を掛けたが、呼び出し音は鳴るもののやはり繋がらない。
くっそ!
ぎりぎりと歯を鳴らし、
すぐに神流グループのHPを立ち上げると、持株比率がまとめられた株主構成表……有価証券報告書を開いた。
株主とそれぞれの持株比率を分かりやすく示したもので、所有者別の状況や大株主の一覧といった情報が、円グラフや表などを利用して表記されている。
この表によると、今の所更新はされていないのか49%の株を親父が、5%の株が俺、その他の株は役員たちで占められていた。
ダンっ!
俺はデスクの上を拳で叩いた。現段階では何も分からない……
CCは一体何を思って神流グループに投資なんてしたのか。神流グループなんてヴァレンタインに比べればまだまだの企業だ。この先の未来を見据えて、と言う純粋な目的ならいいが。
それにしても急すぎる。
ここ近々神流グループにとって大きな出来事はなかった。つまり目立った動きがないのに、投資する意味が分からない、と言ったところだ。
敵か、
味方か。