Fahrenheit -華氏- Ⅲ
次の日の日曜日は、無駄に早く目が覚めた。
考えることが多すぎて眠りが浅く、夢を見ては起きる、と言う繰り返しで、寝ることを諦めた、と言ってもいい。
その日一日は瑠華に連絡するかどうか散々悩んだが、結局瑠華に電話もできず。
まぁ月曜日になれば電話せずとも瑠華に直接会えるし、その時でも…
相変わらず親父は捕まらないまま、
月曜日を迎えた。
―――20XX年12月5日
………やって、しまった…
完全に寝坊だ!
昨日丸一日、家で慣れない考え事をして過ごしてたからか、
起きた時は8時ちょっと前だった。
アラームをセットし忘れたってのもある。
ぐわぁあああ!
バタバタと用意をして、9時の就業時間にギリギリセーフ…
瑠華の様子は…
と思ってすでに出勤しているであろう彼女の席を見ると、瑠華は―――
目頭をハンカチで押さえて俯いていた。
そのすぐ近くでは佐々木が困ったような、どうしていいか分からないと言った感じで突っ立っている。
え!?瑠華、泣い……!?
「どうゆう状況!?」
挨拶よりも早く思わず口に出ると
「あ、おはよーございます」と佐々木がのんびりと頭を下げた。
「私としたことが、失礼しました……おはようございます」瑠華は目じりに浮かんだ涙をハンカチで押さえながら、小さく頭を下げる。
いやいやいや…
佐々木が瑠華を泣かせた!?
「お前……柏木さんに何を…」と佐々木を睨むと、佐々木は慌てて手を横に振り
「……佐々木さんにお借りしたアニメのDVDを昨日見て……振り返ると未だに感動の涙が…」と瑠華が代弁。
え…アニメ??
「あの台詞『わが生涯に一片の悔いなし』身に沁みます…」
え!?
まさかまさかの
「北斗の〇!?」
目を丸めて佐々木を見ると、佐々木は苦笑い。
「僕、大好きでDVD全部持ってるんですよ~、それを柏木さんに貸してあげたら気に入ってもらえたみたいで」
いやいやいや…
瑠華と北斗〇拳て激しく不釣り合いだ。
「ラオウは成仏できたのでしょうか…」と佐々木に意見を窺っている瑠華を見ると
う゛~~ん、この様子からしたら
ジェイク・ダリスとは無関係な気がしてきた。