Fahrenheit -華氏- Ⅲ
やっぱ考えすぎだったのか?
瑠華とジェイク・ダリスは全くの無関係で、つまりCCが今回大量に株を買った意図は他にある?
就業時間が始まり、瑠華は何とか涙を引っ込めると、相変わらず淡々とした様子で仕事を始めた。
「部長、セントラル紡績さんのマザーズゲートですが、先方が納期が遅くなるとご一報がありまして」
しかし完全に瑠華とジェイク・ダリスが繋がってないという証拠はない―――……
「―――菅井さんに確認していただけると…」
いや、単なる出身大学が一緒だということだけで疑うのは…
「……ちょう、部長!」
トントン!
指でデスクを叩かれ、ハッとなった。
慌てて顔を上げると、ほんの少し眉間に皺を寄せた瑠華が
「私の話、聞いてました?」と低く言い腕を組む。
全く―――聞いてなかった……
とは
言えねぇ。
ガミガミ…
嗚呼、また俺瑠華に説教されてるし…
「スミマセン(泣)」
くすくす…
斜めから佐々木が小さく声を押し殺して笑っていて
「んだよ!」と目を吊り上げると、佐々木は椅子ごとこちらに寄ってきて
「…いえ、金曜日の夜ちょっと仲が悪く見えたみたいでしたけど、相変わらずですね。僕はやっぱりこのお二人が好きです」
そっか……
佐々木は俺たちの喧嘩がホンモノだと思ってたんだよな~、誤解を解きたかったが、どこでどう情報が洩れるか分からないからな、ゴメンな、佐々木…
そんなことをしんみりと思っていると
「あのー…、お疲れ様で~す…今ちょっとよろしいですか?」
と、他部署の女子社員二人が箱のようなものを手に声を掛けてきた。