Fahrenheit -華氏- Ⅲ

「It's strange that a big name like you would come to Japan without an interpreter.Fortunately, though, no one seemed to suspect it on that occasion.And what's with that Southern accent?Kentucky?(大体、あなたみたいな大物が通訳も付けず、来日するっておかしなことじゃない。幸い、あの場では誰も疑った様子はなかったけれど。それに何なのあの南部訛りの言葉。ケンタッキー州って)」


あたしも一杯やりたい気持ちになってきた。やってられない。あたしは”あの時”ジェイクの”演技”に合わせるのが背一杯だった。


「I needed you because I have a southern accent.Luring you in, it sounds bad to say, but I simply wanted to see you.(南部訛りだから君が必要だった。君をおびき寄せる、と言うと聞こえが悪いが、単に会いたかった)


We've got an interpreter, but he's waiting for us at the hotel.(通訳は付けてあるがホテルで待機してもらってる)」


しれっと言ってのけたジェイクから猪口をひったくった。


しかしジェイクは全然応えていない。


「You did not know?I'm really from Louisville.(知らなかったかい?俺は本当にルイビル出身だ)」


「Whats?Aren't you from New York?(え?NYじゃないの?)」目をまばたくと


「Didn't you say that?I am not a legitimate child. I am the child my father gave to his mistress.But he wife wasn't able to have children.(言ってなかったかい?俺は嫡子ではない。父親が愛人に産ませた子だ。だが本妻は子供に恵まれなくてね)」


ジェイクは庭の池で優雅に泳いでいる鯉を愛でるように目を細める。


知らなかった……


ジェイクにそんな過去があったなんて。


まぁ、知らなくて当然か……あたしたちの付き合いは二か月と言う短い期間。家族の話までしている余裕なんてなかった。


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