Fahrenheit -華氏- Ⅲ
手配してくれたタクシーで都内のマルーナホテルに向かう途中
「Maruna Hotel, you said you wanted to see it, why?
(マルーナホテル、見てみたいと言ったが何故?)」と当然の質問をされ
多くを語りたくなかったあたしは
「Business.(ビジネス絡みよ)」とだけ答えた。まぁ仕事の一環だからあながちビジネスも外れていない。
順調に行けばホテルまであと十分と言うところだった。
TRRRRR…
あたしのスマホが着信を鳴らした。
一瞬、啓かと思ったがスマホの画面には
着信:葵さん
となっていて、あたしは目をまばたいた。
葵さん―――?
一応は仕事中だ、出る義理もない、無視しても良かったが、何かあったかもしれない。結局出ることにした。
『瑠華ちゃん?俺』
「知っています、メモリにあなたの名前が出ていたので、当然です。それより何か、今は仕事中で」
『ごめんね、でもちょっと気になることがあって。瑠華ちゃん今ジェイ……何とかって言う外国人と一緒?』
突如聞かれて、あたしは思わずジェイクを見た。