Fahrenheit -華氏- Ⅲ
あたしの視線に気づいてか、ジェイクもあたしの方を見てきて
「それが何か」と肯定も否定もしないで相手の出方を見ていると
『空汰が焦ってた。瑠華ちゃんとジェイ…何とかって男の関係を知りたがってるみたいで、俺に連絡してきたんだ』
あたしは目を開いた。
二村さん―――
どこまでも疑い深いひと。
まるで蛇のようなしつこさもある。
「一緒には居ますが、会長もご一緒です。私は通訳を頼まれただけなので」
『そっか…なら良いのか…??よく分かんないけど、瑠華ちゃん疑われてる。気をつけて』
「ええ、情報ありがとうございます。また連絡します」
ピ
通話を切り、あたしはタクシーの運転手さんに
「すみません、そこで私は降ります。彼をホテルに送ってください」あたしは財布から万札を取り出し、運転手さんに手渡した。
メーターはまだ1,500円程度だが、この後幾らかかるか分からない。10,000円あれば十分行ける距離だろう。
「お釣りは結構です。彼をホテルに届けてください」
「あ、はい……」運転手さんは慌てて路肩に止めようとすると
「You say you're getting out of the taxi?(君は降りるって言うのかい?)」と日本語が分からないジェイクも何となく察したのだろう、
「I've told them to get you safely to your hotel, don't worry.(あなたを無事にホテルに届けるよう伝えたから安心して)」
「It's kind of hectic. Who was on the phone earlier?(何だか慌ただしいな。さっきの電話は誰から?)」と聞かれ
「It's joker, never mind. It wouldn't be good if you and I were seen together right now.(ジョーカーよ。気にしないで。今、あたしとあなたが一緒に居るところを目撃されるとマズイわ)」