Fahrenheit -華氏- Ⅲ
くっそ!
二村がいちゃ村木も下手に動けない。
村木の話によると、銀座にある料理屋に村木が向かった際、常務と合流した際に、二村と偶然会ったらしい。
偶然を装っているに違いないが。
「村木サン、あんた尾けられたんじゃ―――」
『一度ヘマをしましたからね、十分に気を付けてはいたつもりですよ』
はは……それって俺たち(俺と瑠華)が尾行したときのこと言ってるのネ。
「じゃぁ可能性としては…」
『私が常務と会うこと、二村は知っていたということでしょうね。まさかあなた…』
「まさか!俺は誰にも言ってない。紫利さんにだけはマダムバタフライの席をキープするよう言ったけど」
そう、瑠華ですら知らない情報だ。
一体、どこから漏れた―――?
『私もあまりに長く席を外すとマズイ。戻ります。何とか二村を帰すよう努力はしますが』
「ええ、でも変に勘繰られてもマズイですからね、もし無理なら撤退してください」
『分かりましたよ、ではまたご報告します』
「よろしくお願いします」
ピ
短い通話を終えて、俺は背もたれに深く背を倒した。
二村―――
ジェイク・ダリスの登場で俺たちに何らかのアクションを仕掛けてくるかと思いきや、常務と村木の方を狙っていたとは―――
迂闊だった…
どうすればいい、どうすれば…
と考えてると
「ただいま戻りました~」
とコンビニの袋を掲げて佐々木と瑠華が帰ってきた。