Fahrenheit -華氏- Ⅲ
「「ありがとうございました~♪おねーさん、またネ♪」」
女の子たちとボーイに見送られ、あたしはお店を振り返った。(勿論決済はカードで済ませた)
今日一日で30万近く払ったが、それ以上の収穫があったと言ってもいい。
「なぁなぁ、どーするのこの先」
葵さんが寒そうに首をすぼめてパーカーのポケットに手を突っ込む。
「まだ考えてはいません」
あっさり言うと、葵さんはぽかんと口を開けた。
「ちょっ、ちょっ!それ、大丈夫なの?すっげぇ爆弾落とされたわけじゃん?」
「爆弾には爆弾で対処します」
もう一度ジェイクと話し合う必要がありそうだ。
「今日は色々とありがとうございました。あなたのおかげで必要な情報をいくつも得られました。
また連絡します。それでは」
あっさりと言ってあたしはタクシーを拾おうと手を上げた。
「ね、ね!大事なこと忘れてない?」
葵さんに聞かれあたしは首を捻った。
「…その…ジェイク何とかってのと瑠華ちゃんの関係、空汰から探れって言われてるんだけど、今日瑠華ちゃんと会ったこと報告するつもりだし、何て言えば…」
「無関係だ、とだけ。本人は否定してると言ってください」
どこまで葵さんの言葉を信用するかは分からないが。
「うん、分かった…」
葵さんは俯く。
「しっかりしてください。あなたが私と仲良くしている、と言う状況を二村さんに植え付けさせなければ」
「それってホントのことにならない?」
葵さんがパーカーに手を突っ込んだまま顔を上げた。
いつになく真剣な表情だった。