Fahrenheit -華氏- Ⅲ

椅子取りゲームのスタート。



♠K♠


20XX年12月13日火曜日


この日も通常通りの朝を迎えた。


昨日具合が悪そうだった瑠華のことが心配だったが、彼女は通常通りの時間帯に昨日より顔色を良くして出社してきた。


今日はパイソンプリントがされた赤いレザーのラップスカートと白いワイシャツにレザーの黒い上品なレザーネクタイ、細かい黒白チェックのジャケットを肩に掛けていて、髪はゆるくアップにしてある。顔色の悪さを隠すためか少しばかり濃いめのリップの赤色が気になったが、それすらも今日のファッションを引き立たせているようで、特に違和感はない。


「お…はよー、昨日具合悪そうだったけど大丈夫?」


まだ、普段通り声を掛けられない俺は瑠華の顔色を窺うようにおずおずと言うと


「はい、大丈夫です。ご心配をおかけして申し訳ございませんでした」と瑠華はいつもと同じ様子でキッチリと頭を下げる。


「あ、うん!佐々木も心配してたみたいだけど元気そうで良かったよ」と慌てて言うと


瑠華は一つゆっくりと瞬きをして、俺をじっと見据えてきた。


な、何―――


と身構えていると


「佐々木さんにも謝罪いたします」


「いや、謝罪って……柏木さん何も悪いことしてないじゃん」


「それでも体調管理は社会人の務めです。それを怠った私に非があります」


うーん……相変わらず真面目……


そのうちに佐々木も出勤してきて、瑠華は言った通り


「昨日はご迷惑をお掛けしました」と佐々木にも頭を下げていた。


言われた当の本人は何のことか分からないようで「へ?」と間抜けな返事を返していた。


「具合が悪く早く帰ってしまい」と瑠華が説明を加えると


「全然大丈夫です!今日は顔色いいみたいですね、僕安心しました」と佐々木はデレデレ……しているように見えるのは俺だけか?

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