Fahrenheit -華氏- Ⅲ

なるほど、だから二村さんは憂さ晴らしの為に強い酒を求めたのだろうか。


しかし、葵さんがあたしをそんな風に思ってくれていたなんて、少し驚きだ。


いや、演技の可能性だってある。けれど葵さんは今録音を聞き返しただけでも嫌悪を顔に露わにしている。演技では、無い?


『お前、柏木さんに相当マジなんだな。つーかあのガードの固そうな柏木さんをよく落としたな』


瑞野さんのことを取りざたされたからだろうか二村さんの声に不機嫌がにじみ出ていた。


『そりゃ最初は警戒されたけど、何度も偶然を装ったら根負けしたってとこかな。一歩間違えればストーカー扱いされてたかも、だけど彼氏と別れたばかりとか言ってたし』


『ふーん、で?もう寝た?』


………


何故、男女の仲だと言うと話がそうなる。


あたしが目を細めると葵さんは苦笑い。


『まだ~』録音の声の葵さんの声はさっきの真剣さを仕舞いこみ相変わらず軽い感じだった。


『は?手が早いお前がまだって……やっぱ怪しいな』






『お前にはわっかんねーんだろうな。本当に大切な人とはそうゆうの大事に育みたいって言う気持ち。



てか大事過ぎて―――簡単に手を出せないって言うか』




あたしが目をまばたきさせる。


< 742 / 833 >

この作品をシェア

pagetop