Fahrenheit -華氏- Ⅲ

これ以上、綾子から何か聞き出すのは無理だ。秘書は口が堅い。元々その気質もあってか綾子は秘書室勤務になった所も理由の一部である。


ちっ、親父の犬め。


と心の中で悪態を付き、仕方なしに俺は秘書課を後にした。


でも綾子、俺だって最終手段はあるもんね!


秘儀!避難部署!


「ゆぅ~~じぃいいいい」


結局、裕二を頼ることしかできない俺。


昼食前なのかシステム課で裕二は真面目に仕事をしていた。


「何だよ、また何かやらかしたのか?それとも頼み事か?頼み事だったらもう俺は手を貸さん」メガネのブリッジを上げ、ぷいと顔を背ける裕二。


「やらかしても頼み事でもねぇよ。ちょっとタバコ行かね?」俺がワイシャツの胸ポケットからタバコを取り出すジェスチャーをすると、裕二は何かしら予想はしていたのは小さく鼻息を吐き


「わーったよ(分かったよ)でも五分だけな」


医者が患者に言うセリフみたいな言い方で裕二が渋々席を立つ。


7階の喫煙ルームは今は誰もいない。元々システム課の人間は喫煙者が少ないのか、それでも空調が効いているはずなのに、タバコの匂いが充満していた。たまたま人が居なかっただけか。助かった。


「なぁ裕二、瑞野さんの異動、お前もメール見ただろ?」


「あー、今朝届いてたのね?見たよ。まぁ驚いたけど」


「そのことでさー、綾子から……」


「何も聞いてない」


俺が何も言い出さない内に早々と答えやがって。


しかし綾子と口裏を合わせてるって感じではなかった。何故かな。こいつのことはこいつ以上に分かっている気がするのは。


ということは本当に理由を知らないってことだ。


「大体、綾子は仕事の話あんましないしさー」とタバコに火をを点しながら裕二は遠い目。


ああ、それが寂しいって言うこと?お前も可愛いとこあんじゃん♪


「俺に確認するより柏木さんに聞いたら?あのひとそうゆうのやたら鼻が利くって言うか」


俺は大きくため息を吐き


「その当の本人が願い出たんだよ。人手が足りないから出向ていう形でいいから瑞野さんを貸してくれないかって」


「え?」この発言には裕二も驚いた様子だ。


やっぱ裕二に聞いても分かんねぇか。と俺もタバコに火を点けた時





「絶対、何か隠してるよね。柏木さんと綾子ちゃん」




すぐ傍で桐島の声を聞き、


ぅを!!お前、何でここに居る!!


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