Fahrenheit -華氏- Ⅲ

ユーリの迷子を理由にしてあたしをおびき出した?


「心音、ティムとユーリを連れて店の外に居て。すぐ戻るから、そこを離れないで」と心音に言うと心音は「何考えてるの?」とちょっと不安そうに顔を歪めてそれでもユーリを大人しく抱き上げる。


「Why don’t we go outside for a bit with Coco?
(ココお姉ちゃんと一緒にちょっとお外行こうか)」と心音がユーリに問いかけると


「OK.」ユーリは抱っこされたのが嬉しかったのか心音のふわふわのファーがあしらった襟にぎゅっと抱き着いて、大人しく二人は店から出て行った。


あたしはゆっくりと立ち上がるとマックスのコートの襟を掴んで近くの棚にドンと押し付けた。押し付けたときに僅かに棚が傾き、そこからいくつか陳列されていたぬいぐるみが落ちた。すぐに店員さんが拾いに来たが気にする余裕もない。


「Stop messing around!(ふざけんじゃないわよ!!)」


あたしの怒鳴り声は店中に響いたようで、あまり広くない店中の中に居た人々がこちらを振り向く。勿論ぬいるぐみを拾っていた店員さんも。


「Wow,wow,wow,wow,Is that really something to get so upset about?
(そんなに怒らなくても)」とマックスは両手を挙げて降参のポーズ。


「You have no idea how panicked I was! How despicable of you to take advantage of my feelings just to get me to come!
(あたしがどれだけ焦ったか!あたしの気持ちを利用して呼びつけるなんて、何て最低なの!

It's scum bag!
このクズ野郎!)」


マックスは苦笑いで「That’s the first time anyone’s ever called me that. And it came from you—calling me a “scum bag”
(はじめて言われたよ君から『クズ野郎』だなんて)」


とあまりあたしの怒鳴り声はマックスには響いていない様子だ。

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