Fahrenheit -華氏- Ⅲ

確かに瑠華と二人っきりでカウントダウンできたら最高だけど。


そう言えば瑠華は―――?マックスはニューイヤーまでいてカウントダウンもユーリと三人でしようと誘っている。


俺の複雑な表情を読み取ったのか


「じゃ、決まりね。俺桐島にも声を掛けとくわ」と勝手に話を進める裕二。


もうどうでもよくなってきて、俺はやや投げやりな感じで頷いた。


「よっしゃ。じゃぁ次はプレゼント選びだな。なぁなぁ何がいい?」と聞かれたときチキンカツのみぞれ煮が届いた。


上品な出汁と醤油の香りが腹の虫を泣かせる。


割りばしを割りながら


「まぁ無難に?バッグとか靴とかアクセとか?てかお前何貰ったの?」と聞くと裕二は割ったばかりの割りばしで味噌汁を飲もうとした手を止め


「俺?ああ」と言ってネクタイを緩めると、ワイシャツのボタンを一つ外した。


何故外す。と思ったがそこからシルバー製のチェーンネックレスに掛かったネックレス?を取り出した。シルバーの土台にパールが縦に三つ並んだ洒落たデザインだった。シルバーの土台はまっすぐではなく少し波打っている。


「これな、実は裏がタイピン仕様になっていてチェーンを外したらタイピンにもなるんだよ」


「へぇ流石綾子。センスがいいな」


「だろだろ~」と裕二は得意げ。


綾子、一生懸命選んだんだな。だったら尚更綾子が怒る理由は分かる気が……


「ねぇ啓人くん」と裕二が上目遣いでこちらを見てくる。


嫌な予感がして俺はその視線から逃れるため、顔を逸らした。


「今日の夜空いてる?仕事早めに終わらせてさ。綾子へのプレゼント選び付き合ってくれよ~」


やっぱり…


「やだよ。俺綾子の好みなんて知らねぇもん」


「俺だって全て知り尽くしてるわけじゃないし。そもそも女が喜びそうなものって何?あいつバッグも靴もアクセもたくさん持ってるし」


「まぁ、そうかもしれないけど」


「だったらさ、柏木さんにも協力してもらうのはどう?」


「は?何でそーなる」


「だってあの二人何気に仲良しだし」


「だからって俺と瑠華が今二人で出かけたら二村に疑われるつうの」


今までの努力を水の泡に返す気か、こいつぁ!


「誰が二人って言ったんだよ。俺も居るだろうが。三人一緒ならもし見つかっても言い訳?って言うか本当のこと喋れば問題ないだろ?」


ま、まぁ考えたらそうかもしれないけど。


怒ったり納得したりで俺のいかにも旨そうなチキンカツのみぞれ煮が進んでいかない。
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