Fahrenheit -華氏- Ⅲ

定時になるとすぐに瑠華から日報が届いた。


やっぱり今日も……早く帰っちゃうのか…


はぁ…


小さくため息をついていると


「あれ、柏木さん今日どこかへお出かけですか?」と佐々木が探るように瑠華に聞いていて、佐々木も気付いたのか…


瑠華はこないだ着ていた、確か心音ちゃんがプレゼントしてくれたって言うバレンティノの透けるレース素材のコートを着ていた。バッグも同じもの。(※FahrenheitⅢ参照)


「ええ、そうですが、何故?」と瑠華がコートを着ながら佐々木に問い返す。


「いえ、そのコート前にも着てましたよね。すっごいオシャレで高そうだったから何となく記憶に残ってて」


佐々木は顎を引きながら「これってセクハラになるんですかね」と何故か俺に問いかけてくる。


「知らねぇよ」


俺はそっけなく……いや、いっそ冷たく?答えた。


瑠華が今日、早く帰る理由―――……


“ジョーカー”と会うって言ってた。



それってマックスと―――?




聞きたかったが、聞けない。


今度ばかりは心の声を打ちこむわけには行かず、俺の手はキーボードの上、制止していた。


「お先に失礼します」瑠華の淡々とした挨拶に


俺、ちゃんと返せたかなぁ。



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