Fahrenheit -華氏- Ⅲ
買ってきた惣菜やつまみや酒をリビングのローテーブルに置くとちょっとした居酒屋みたいになった。
「「「「お疲れさ~ん」」」」
と、とりあえずみんな「駆けつけ一杯」と言った感じでビールで乾杯。
綾子は豪快に一気飲みして、空になった缶をテーブルに置き
「はぁ!仕事終わりの酒ほど美味しいものはないわ~!」と笑う。「あ、タバコ吸っていい?」
お前……ホントに女か?
まぁ俺もタバコ吸いたかったから良いっちゃいいけど…
缶ビールの半分程を飲むまで、普段通りの四人だったが、俺は早々に切り出した。
「実は……話したい事って言うか相談したいことがあって…」と言うと
三人が俺の方を向いた。
俺は俯いたまま
「瑠華と別れた」
と小さく報告。
三人とも何も言わなかった。
あのぅ……もっと驚いたりしないワケ?
「そうかな~って思ってたわ」
「俺も。啓人が落ち込むのって大抵女絡みだし」と裕二。
「俺、気付かなかったケド、招集掛けられたし。それで何となく?」
桐島……お前気付かなったワリには冷静だな。てか招集って…
「まぁま、今日は啓人の失恋会ってことで~」
と綾子が強引にビールの缶を掲げ
「ちょっと待て。それって俺がフられた前提?」
「は?、違うの?」と綾子が訝しげに目を細める。
「お前の愛情ウザいからな、いつフラれるか心配してたかが、案外早かったなーって思ってたけど」
「俺、全然知らない」と桐島。
「違う…」俺はビールの缶をぎゅっと握った。ベコっと言う金属が潰れる音が聞こえた。中から残ったビールの液体が飛び出てきて、俺の手を濡らしたがそれすら気付かず
「俺がフった」