Fahrenheit -華氏- Ⅲ
「「はぁ!?」」
綾子&裕二の声がきれいに揃った。相変わらず年期の籠ったコンビだぜ。
「お前っ!あんな(怖いけど)イイ女フってこの先、それ以上のと出逢えるとか思ったわけ!?」
「そぉよぉ!あんたには勿体ないぐらいだわ」
「まぁまぁ二人とも、啓人の話を聞こうよ」
いつになく空気を読んだ桐島が言い出したが、しかし
「「「ん」」」
三人揃って右手を俺の方へ向ける。
「え?」分けが分からず目をまばたいていると
「お前がフられたから失恋会してやろうって話し合って三人で割り勘にしたってのに」
「実はフったってなったら倍額請求したいぐらいだね」と桐島。
「いっそ全員分払って貰った方がいいんじゃない」と綾子が目を吊り上げる。
「ちょ、ちょっと待てよ!これにはワケがあって」
慌てて手を振ると
「「「ワケ?」」」
三人が身を乗り出し、三人に迫られ俺は床に手をついて後ずさりをしながら、ごくりと息を呑み、とうとうことの真相を話し聞かせることになった。
最初は…そうだな、まず瑠華の過去から入ろう。
俺は瑠華は一度結婚していて、その相手が誰もが知るウォール街の帝王、ヴァレンタイン財団の次男で、この前ハロウィンパーティーに来ていた男だと話した。
「「結婚!!?
しかもヴァ、ヴァレンタイン!!!?」」
裕二&綾子がこれまたきれいにハモる。
「あーだめ、だめ。顔ですでに負けてるのに、バックグラウンドでも負けてるなんて。あんたとはケタ違いのホンモノのセレブよ?」と綾子が額に手を当てため息。
「比べる対象が“アレ”だとな―……元カレだって思ってたけど、まさか元夫婦だったとは…」
裕二も腕を組み「う゛~ん」と唸る。
「ところで桐島、お前驚かないの?」俺が聞くと
「いや、流石にヴァレンタインとは知らなくて、それには驚いたけど。夫婦って聞かされて何となく?そーかなって…」
「「桐島!?」」今度は俺と裕二がハモった。
「何でそう思ったわけ?」恐る恐ると言う感じに聞くと、
「単なる勘だけど、同じ絵柄のタトゥーがあったし…元恋人同士でも流石にそれはないかな~とか。それに絵柄が何となく家紋?みたいだったし…?」
なるほど!てか桐島、観察眼すげぇな。
て納得してる場合じゃない。
俺はごくりと喉を鳴らした。
ここから重大発言だ。
爆弾落とされても、生き残れよ、お前ら。