真昼の星空
羽田 21:20。

頭の中で計算する。

荷物受け取って。

電車乗って。

家着くのはきっと23時近い。

そっか。

小さく呟く。

帰り遅いよな。

ベッドに座る。

スマホを見たまま。

今日は会えないよな。

わかってる。

仕事だし。

無理させたくないし。

でも。

会いたい。

思った瞬間、小さくため息が出る。

自分で苦笑する。

「俺こんなだったっけ…」

10年前よりひどいかもしれない。

でも違う。

毎日一緒にいたから少しくらい離れても大丈夫だって、思ってたんだ。
もう、1分だって離れていたくない。

スマホをもう一度見る。

陽の名前。

指が動きそうになる。

「会いたい」

打ちそうになる。

止める。

そして呟く。

「明日まで我慢か。」

少し笑う。

「長いな。」


はぁ。

玄関のドアにもたれる。

帰宅。

時計を見る。

もうすぐ23時。

靴を脱ぎながら思う。

会いたい。

その言葉が自然に浮かんでしまう。

スマホを見る。

雅人の名前。

(言ったら…)

少し笑う。

来ちゃう。

きっと来る。

時間なんて関係なく。

でも――

それはまだ早い。

まだちゃんと好きって言ってない。

まだ付き合ってもいない。

この距離が心地いい。

会いたいけど、

まだ会わないこの感じ。

大人の恋の始まりみたいで。

少し大事にしたい。

家ついたよ。

送信。

数秒。

既読。

(はや。)

思わず笑う。


少し間があって返信が来る。

お疲れ様。

そのあと。

東京にいるのに会えないのつらい。

さらに続く。

昨日は遠いから我慢できたのに。

陽思わず笑う。

(正直すぎる)

でも胸が温かくなる。

自分も同じこと思ってたから。

スマホを握りしめる。

(会いたい)

(でも)

深呼吸する。



明日どうする?

送信。

少しして既読。

雅人は考える。

明日じゃない。

今会いたい。

気づいたら打っていた。

10分で帰るからこれからいっていい?

送信してから思う。

(急すぎたか…)

既読。

数秒が長い。

返信。


わかった。待ってる。

続けて。

住所送るね

雅人息を吐く。

(よかった…)

住所が届く。

すぐ返信。

すぐ向かう。

ジャケット掴んで部屋を出る。

心臓が早い。

10年前と同じだと思う。

違うのは。

今度は離さないと決めていること。
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