真昼の星空
初めて彼女を見たのは、入学式の日だった。
まだ少し冷たい春の空気。
慣れないスーツ姿の新入生たちがざわめく会場の中で、なぜか彼女だけが静かに見えた。
ピンと伸びた背筋。
少し緊張した横顔。
綺麗だった。
けれど、そんな彼女に目を引かれていたのは、自分だけではなかった。
周りの視線が自然と集まっているのが分かる。
――俺もミーハーだな。
そう思って、雅人は小さく苦笑した。
入学してからも、時々彼女を見かけた。
駅のホーム。
講義棟へ続く坂道。
学食の入口。
いつも男の先輩や、同級生の女子に囲まれていた。
誰かに話しかけられ、楽しそうに笑っている。
その輪の中へ入っていけるほど器用ではない。
友達になりたいと思った。
けれど、きっかけもなければ、入り込む隙もなかった。
この大学だって、本当は第一志望ではなかった。
東大に落ちて、仕方なく来た場所だった。
周りは前向きに新生活を始めているのに、自分だけが少し置いていかれたような気がしていた。
けれど。
まだ名前も知らないあの彼女に会えたのなら、ここに来た意味はあったのかもしれない。
そんなことまで思ってしまう。
ある日、最後の講義を終えて校舎を出た帰り道。
彼女が立ち止まり、空を見上げている姿を見かけた。
夕暮れが終わり、群青色に変わり始めた空。
ひとつ、またひとつと星が灯り始めている。
彼女はじっと空を見ていた。
――星、好きなのかな。
雅人は少し離れた場所で足を止める
そして、彼女の見ている空を、自分も見上げてみた。
まだ少し冷たい春の空気。
慣れないスーツ姿の新入生たちがざわめく会場の中で、なぜか彼女だけが静かに見えた。
ピンと伸びた背筋。
少し緊張した横顔。
綺麗だった。
けれど、そんな彼女に目を引かれていたのは、自分だけではなかった。
周りの視線が自然と集まっているのが分かる。
――俺もミーハーだな。
そう思って、雅人は小さく苦笑した。
入学してからも、時々彼女を見かけた。
駅のホーム。
講義棟へ続く坂道。
学食の入口。
いつも男の先輩や、同級生の女子に囲まれていた。
誰かに話しかけられ、楽しそうに笑っている。
その輪の中へ入っていけるほど器用ではない。
友達になりたいと思った。
けれど、きっかけもなければ、入り込む隙もなかった。
この大学だって、本当は第一志望ではなかった。
東大に落ちて、仕方なく来た場所だった。
周りは前向きに新生活を始めているのに、自分だけが少し置いていかれたような気がしていた。
けれど。
まだ名前も知らないあの彼女に会えたのなら、ここに来た意味はあったのかもしれない。
そんなことまで思ってしまう。
ある日、最後の講義を終えて校舎を出た帰り道。
彼女が立ち止まり、空を見上げている姿を見かけた。
夕暮れが終わり、群青色に変わり始めた空。
ひとつ、またひとつと星が灯り始めている。
彼女はじっと空を見ていた。
――星、好きなのかな。
雅人は少し離れた場所で足を止める
そして、彼女の見ている空を、自分も見上げてみた。